夏の真ん中
淀川沿いで酔っ払いながら花火みてワインの瓶を割って
実家から送られてきたおいしいワインは河川敷に流れ、幸いそれは人混みのなかの誰にも迷惑をかけることはなかったし、
私は笑って、新しいワインを買いにいかせた
花火は延々上がり続けて、
私は以前なら飽きちゃう1時間ちょっとの眺めるばかりの時間がふと当たり前のように過ぎたことに
自分が変化していってるのを感じる
派手に上がったらぱっと消える
わー、ていう歓声と子供の声
そわそわした夏のいいところをぜんぶ持ってる
額が汗ばんでるのをかんじながら、特別な季節なんだっておもう瞬間
ひとりの時間
夏の朝凪のいろは驚くほど鮮やか



蝉が鳴き止む
東京から来た女の子はパリ帰りでラデュレの紅茶をくれた
ピンクの箱に入ったマリーアントワネットと名付けられた紅茶は花の匂いがしてコーヒーとはちがう解れていくのがわかる
滅多に怒らないわたしが怒って、そのままにするなんて奇特な夜
翌朝仲違いの理由を正した
単純に生きることの難しさに直面し続けてる
朝高架下のケーキ屋さんがシャッターを上げショウケースに出来上がった商品を綺麗な手付きで並べているのを見ながら階段をのぼるとき、あんな風に丁寧に生きたいとおもう
自分がどんどん変わっていく
そのたび思い出す



秋のはじまり
窓を開けると阪急電車が走っているのが見えて慌しい
みんな行く先々があるのかとおもうと生活の数にくらくらしてくる
私にもまた行く先がある
電車の中ではいつも考えてる
車窓からはちらっと前の家がみえて、
解れてない色々とまだ向き合わなきゃいけない
ひねもす悩み揺らぎ続けたあとに出る単純明快な予感と答えを待ってる
電話に出たら泣いて会いたいと喚いてしまいそうで出られなかった
近所の居酒屋はいつもがやがやしていて、店に入ると「おかえりー」って挨拶する




夜長
母に会って意識の粒つぶは拡散、もうしばらく会うべきじゃない人なのかもしれないという予感が
こんなにもはっきりする悲しさ
私は求めていたものがあった
もし、に囚われすぎている
調子の悪さ続いて9月はいつも本当にクソ
何かしているとふと心に死という概念が浮かんで消える
パパは心配して会いにくる
水族館に行って、もう少しこどものままでいたいとおもう、身体はいくらおとなになっても
「なによりもだいじだ」
私はその愛にどう応えよう



秋が終る頃にはきっと少し事は終る
なんとなくはっきりすることも増えるとおもう
わからなくていいこともわからないまましまうこともちゃんとやり方がわかってくるはず



冬が深くなれば多分取り戻す頃だとおもう
何年か自分をやってきたからなんとなくわかる
その間を数知れぬ人に助けられるんだとおもう
感じることを感じ続けるしかない
毎日を過ごして話し続け考え続ける
ふと軽くなって、ぐるぐる巻いたマフラーに埋れながら、これでいいんだとどこかで思う
そのときはきっともう1人ではない
孤独であることと孤立して生きることは違う
子供が欲しいって思ったのは、それが偶然を必然に変える大きな変化で私には唯一の方法と思ったから
点々と広がる光は偶然と必然との間で点いたり消えたりしながら
私はいつかひとつを守り続ける
誰かとどっかで、それは途方もないような気がするけど、案外君だって私だって簡単にできることだとおもう
もういちど寄りかからないで愛することが大人になるってことなら
もう少し時間と考えが纏まって
春には春らしくなにかはじめたい